冠詞theに関する質問と回答

今回は二人の読者から「The」に関するご質問を頂いていますので
ご紹介させて頂きたいと思います:

【質問】

こんにちは。はじめて質問させていただきます。
 
私は製造業の企業にて社内翻訳(英日・日英)をしております。
ネイティブがおりませんので確実なチェックが出来ない状況の中、
いつも引っかかるのが”the”の使い方です。
辞書並びに持てる知識からすれば名詞の前には例外を除き冠詞・定冠詞を
つけるというのが基本と考えますが、目にする文書では適当?に省かれて
いたり、自分の訳文を見直すとなんだか”the”がうるさ過ぎる感じが
あったりと確証をつかめぬまま日々過ぎております。
 
何かヒントとなるお知恵をいただきたくよろしくお願いいたします。

【質問】

theに関する質問です。
I play baseball.
I play the piano.
なぜ下の文はtheが必ずつくのでしょうか?
×I play piano.なのはなぜでしょうか?
【回答】

はい、驚いたことに同時期に二人の方から同じ「The」の用法に関する
質問を頂きました。

TheとかA(an)、つまり定冠詞や不定冠詞の用法ですが、これはまあ皆さん
もご存知の通り、英語の習得では最難関、最後の砦と言われているものです。

まず先にガッカリするようなことを言いますが、冠詞を100%使いこなせる
ような日本人はいないということを先によく理解しておいて下さい。

ネイティブでさえ、感覚的に使い分けているだけで用法を事細かく説明
できる人はいません。

つまり、冠詞をあーだこーだ議論する人というのは言語学者か一部の英語
オタク(失礼!)だけです。そもそも完全に理解して使い分けることが
困難なものなのです。解説するだけで何百ページもの本になるでしょう。

でも、そう言って逃げることが出来ないのが我々プロフェッショナル。

今回から数回に分けて、この冠詞という訳のわからんシロモノを何とか
ブッタ切ってさばいてやろうと思います(^^)/ 冠詞よ、覚悟シロ。

先ほども書きましたが、とにかくこの冠詞、ネイティブでさえその用法を
理論的に説明できる人は少なく、ほとんど感覚的に使い分けているんです
ね。つまり、100%間違えずに正しい冠詞を選ぶ方法なんてこの世に存在
しないのです。

だから、ご質問者が感じられるように、英語の文書を読むと「適当に
省かれている」ような気がするんですね。つけたりつけなかったり。

でも、これは逆に捉えれば、肩の荷が軽くなる気がしませんか?
だって、もともと100%正確な冠詞を使いわけることなんて不可能なんです
からね。ダメでもともと、でもなるべくネイティブに近い感覚で、
理解出来る範囲で冠詞を使い分けられるようになることが大事なのでは
ないかと思います。

ということで本題に戻りますが、まず定冠詞「The」の用法ですね。

そうなんですよね、特に日英の翻訳をしているとどんなに経験の長い翻訳者
でもTheのつけ方、頻度に疑問を感じてしまうんです。特に日本人の場合は
たくさんつけてしまう傾向にあり、もうTheだらけという(^^)訳文をよく目に
します。

だから、投稿論文など、文法に特に厳密さが要求される訳文は高いお金を
払ってネイティブチェックを受けるわけです。(ただし、ネイティブに
よってもある人はTheをつけたのを間違いとし、ある人は間違いとしない
ということが往々にしてあります。結局解釈の問題ですから人によって違う
わけです。そんないい加減なモンなんですよ)

基本的にTheをつけるつけないを決定する一番の要因は当該名詞が
「特定できるか、できないか」または「特定すべきか、すべきではないか」
という点です。

これで大半を判別出来るのではないでしょうか。つまり、当該名詞を文章内で
特定する必要がある時、または特定する意味合いを含蓄させる必要がある時、
Theをつけるわけです。

文法書などではよく書き手と読み手がお互いに特定できるものにTheをつける
という解説がありますが、「特定できる」というよりは「特定すべきもの」
と考えた方が良いと思います。

ただ、そのような判断基準でいくと「これも特定すべきだ」「これも…」
となって結果的にほとんどすべての名詞にTheがついてしまう(^^;

でも、それでも書き手であるあなたが「特定すべき」と考えている以上、
その文章が間違っているとは誰にも否定できないはずなんです、基本的には。

ここでは、少し正統的な文法論から離れて、裏技的な使い分け方法をご紹介
しますね。

私が冠詞の使い分けに悩んだ場合は、多少時間のロスになりますが、まず
ネイティブが書いた同種の論文なり文章なりをインターネット等で検索して
読み、ネイティブがどのようにTheをつけたりつけなかったりしているかを
調べます。そして、それを参考に冠詞をつけるかつけないかを判断します。

また、当該名詞にTheををつけたものとつけないものをそのままフレーズ検索し
(googleなどで)、ヒット数で統計論的に判断する場合もあります。

もちろんこのようなアプローチは、あなたが訳している文章中での当該名詞の
意味を必ずしも反映しているとは限りませんので、かなりアウトローな方法
ではあります。その点を理解しておいて下さい。あくまで裏ワザです(^^;

ただ、ご自身で書かれた英文にTheが多過ぎるように感じると思われた点は
すばらしいです。翻訳者の中にはそのような「気配り」さえなく、自分が
書いた英文がtheだらけでアンバランスな感じでもまったく気にしない人が
いるんです。

その辺りが、翻訳者としてのセンスがあるかないか、なんですけどね(^^;
次に「I play baseball」と「I play the piano」で、なぜpianoにはtheが
必ずつくのか?というご質問ですが。

通例、楽器の名詞にはTheをつけると学校で教わったことかと思います。

確かに、何で楽器の前には必ずTheをつけるのか、不思議ですよね。

最初に書いた通り、とにかく定冠詞Theというのは「特定のもの」「特定
すべきもの」につけるわけです。

つまり、わざわざTheをつけて当該のピアノが「そのピアノ、あのピアノ、
そんなピアノ」と「特定のピアノ」であることを仄めかすわけです。

逆に考えると何故ピアノや楽器類にはTheがつくかというと、わざわざ
「特定する」必要があったから、ともいえます。

「特定」というのは、つまりその当該名詞がどんな性質のものか、
どんな属性があるのか、ということを暗に示すということです。

特に楽器というのは身の回りの物品の中でも特殊な存在である場合が
多いはずです。だから、単なる普通のピアノを弾くという意味より、
いちいち「私は(この;彼の;彼女の;私の)ピアノを弾くんです」
というニュアンスを含蓄させるわけで、それが慣例化したんですね。

これは例えば日本ではマイカーという言葉があるのに似ています。
昔、一般家庭で自動車が普及し始めた頃、まだ自動車所有が珍しく、
自分の車であることを特定する意味を込めるためにわざわざ頭に
「マイ」をつけたわけですね。今は「マイカーを買ったよ」なんて言う
人はいないと思いますが(^^;。

まさにこの「マイ」が楽器にtheをつける感覚と似ていると思います。

それでは「I play piano」ではなぜいけないのか?ということですが、
これ厳密には「I play piano」でも間違っていないんですよ。

最近では楽器の前の定冠詞が省略されることがあります。そしてそれが
間違いであるとは言い切れないのです。これはつまり今、自動車のこと
を殊更に「マイカー」と呼ぶ人がいなくなったのと同じことです。

時代とともに文法も変わるわけですね。

ただ、学校や試験などでは楽器前にTheがないと×になる場合があると
思いますので気をつけて下さいね。(人によって、またニュアンスに
よって解釈が異なりますので)

次回からも冠詞について、色々と皆さんと一緒に勉強していきたいと
思います。

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2007年2月25日 | コメント/トラックバック(0)|

カテゴリー:英文法

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